DINKsとは、“Dual Income, No Kids” の略で、共働きで子どもを持たないカップルやそのライフスタイルを表しています。私たちも子どもがいない、夫と妻二人だけの家族で、どちらも正規雇用・フルタイムで働いています。今回は、DINKsという生き方の背景や社会的な影響について考えるとともに、私たちの場合についてまとめてみたいと思います。
DINKsとは? — 定義と特徴
DINKsは、「共働きで子どもを持たない」というカップルやライフスタイルを示します。具体的には、結婚したカップルが、子どもを育てることなく、お互いのキャリアを重視しながら生活している状況です。子育てにかかる時間がありません。また、2人とも働いているため、家庭内の収入源が2つあり、経済的な自由度が高いのが特徴です。
- 共働き:夫婦二人ともフルタイムで働き、家庭の収入源を二つにする。
- 子なし:意図的、もしくは結果的に子どもを持たない、あるいは子育てを選ばない。
- 自由な時間とお金:子どもがいない分、経済的・時間的な自由が大きい。
DINKsの背景 — なぜこのライフスタイルが選ばれるのか?
DINKsというライフスタイルが広まりつつある背景には、いくつかの社会的・経済的な要因があります。
女性の社会進出
男女ともに学歴が上昇し、社会で働くことが当たり前になりました。昔に比べて結婚が遅くなり、結婚後も仕事を続ける女性が多くなりました。その中で「子どもはいてもいなくてもよい」、「子育ては負担が大きいので、それよりも仕事や自己実現を優先したい」と考えるカップルや、「子どもが欲しいが、できなかった」というカップルが増えています。
経済的要因
特に都市部では、生活費や住宅費が高騰しており、子育てにかかる費用も大きな負担となっています。経済的な不安から、落ち着いてから子どもを育てたいという考えを持つ場合も増えてきています。子どもを持たずに、経済的な自由を優先するカップルも一定数見られるようになりました。
価値観の変化
また、社会では「オンリーワン」「みんなちがってみんないい」「多様性」などの流行語に見られるように、個人主義や自己実現を重視する価値観が広まっています。性別、結婚、家族のあり方も複雑になってきています。かつては「結婚=男女=子どもを持つ」という価値観が主流でしたが、同性のカップルや、結婚という形にもこだわらない、子どもを持たない、などの考え方も少しずつ受け入れられるようになっています。
DINKsとして生きるメリット・デメリット
DINKsの生き方には、さまざまな魅力があると感じる人が多いです。一方で、誤解や苦しみを感じる場面もあります。
メリット
経済的自由
共働きで収入が二つあることにより、経済的に安定しやすく、贅沢な生活を送ることも可能です。また、子どもを育てるための費用(教育費、医療費、保育費など)を気にすることなく、自由にお金を使える点も大きな魅力です。
時間の自由
子どもがいないことで、仕事や趣味、旅行などに使える時間が増えます。子育ての負担がない分、夫婦で好きなことに時間を割けるため、個々のライフスタイルを充実させることができます。
キャリアの追求
DINKsは、子育てのためにキャリアを諦める必要がないため、仕事に対してもより多くの時間とエネルギーを投入できます。キャリアアップや自己実現を目指して、より自由に働くことができる点も魅力です。
デメリット
老後の不安
子どもがいれば、老後の介護や生活のサポートを期待することができますが、DINKSの場合、その役割を担う人がいません。そのため、老後における経済的な不安や、健康面での支えについて心配があります。
孤立・生活圏の狭まり
子どもを中心とするコミュニティへの参加がなく、夫婦2人の交友関係に偏りがちです。周りの夫婦が子育てに忙しい場合も多く、友人に会えないことや会話が弾まないこともあります。また、自分の子どもと過ごす時間だけでなく、親としての周囲との交流もないため、生活の中で孤独を感じることがあるかもしれません。
子供がいないことによる社会的評価や後悔
「子どもがいない=未熟」「子どもを持たない=社会的な貢献がない」といった偏見やプレッシャーを感じたり、子どもを持っていればよかったという、後悔や不安やストレスを感じたりするかもしれません。
DINKsの地域や社会的な影響
DINKsというライフスタイルは、特に都市部や先進国で顕著です。大都市では、生活費が高く、住環境や仕事の忙しさから、子どもを育てるためのリソース(時間やお金)が限られているため、DINKsを選択するカップルが多い傾向にあります。
そのため、少子化を加速すると言われています。労働者不足や社会扶助の仕組みへの影響が不安視されています。一方で、DINKs層は自由な時間やお金を、旅行やレジャー、趣味、自己投資などに使います。そうした市場に対する需要を増加させるなど、今後の消費行動を変容させる家族形態とも言えます。
私たちの場合
私たちは、晩婚・子あきらめ型のDINKsです。妊娠・出産に適した年齢を過ぎてからの結婚でしたので、多分子どもは望めないだろうなと考えていました。一方で、高齢妊娠・出産の事例も、よく聞くようになっていましたので、期待をする気持ちもわずかながらありました。遺伝子を残す、ということに少しの期待や希望もあったため、「年齢別妊娠率」「高齢出産」「卵子凍結保存」「養子縁組」などのキーワードを眺めていたこともありました。
また、女としての役割を果たせない自分について考えたこともありました。あまり楽しい話ではありませんが、皆さんの中で不安に感じた方もいると思いますので、私も悩んだり不安を感じた一人であることを記しておきたいと思います。
こうした気持ちは、夫と一緒に過ごす中で解消されていきました。夫が「家事や子どもを産んでくれるとかじゃなく、何もしなくても私が私だから好き、一緒にいたい」と話してくれたからです。
私はいままでの生き方について、反省はありますが、後悔はありません。自分らしく過ごしてきた先に、夫と出会うことができたのです。違うことをしていれば出会えなかったかもしれません。夫が仮に、家事をしてくれなくても、仕事が忙しくて一緒に過ごす時間が多くなくても、毎日一緒にいること自体が心地よく、2人なら楽しい時間を過ごせると思っています。
そのこと自体がとても大切であると強く思うようになり、2人の時間を大切に生きていくことに全力を注ぐようになりました。
まとめ DINKsかどうかではなく、自分らしく生きること
DINKsというライフスタイルは、一般に、キャリアを重視し、経済的・時間的自由を享受しながら、自分らしく生きることができる選択肢となりうると思います。多様性が広く求められる現代社会では、様々な生き方が受け入れられるようになってきたことは喜ばしく思っています。
私たちのような生き方が原因とされるのは複雑ですか、日本では少子化問題や社会保障制度の維持という課題も大きく取り上げられています。社会政策として、有効な手立てを考えなければならないとも感じています。
DINKsとして生きても、それ以外の形の生き方でも、相手を尊重し、自分らしく生きること、勤労を含め、社会貢献をしながら、幸せを求めることは、誰にも認められる権利だと思います。
私たちは2人で、自分たちらしく、前向きに生きて、幸せをやり切りたいと思います!
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