とある夫婦の会話
夫「髪、伸びたな」、「床屋行ってこようかな」
妻「え、こないだ行ったよね」
夫「だって、こめかみの上部あたりが気になるんだよ。すぐ伸びるんだもん」
3週間に1回以上やり取りされる、私たちの会話です。夫は床屋の予約だけは苦手で、思い立った日に切りたいタイプ。駅前に何件も1000円カットの店があるときはそこで済ますことができるのですが、妻としてはやや不満。もっと素敵になってほしいと思うわけです。引っ越し後は、こうした店さえなくなり、思い立った日にやっている地域密着型の理容室に行っては、レトロな髪形になって帰ってくるのです。
夫「切ってきた。どう?」
妻「う、うん・・・。さっぱりしたね。」
こうして毎回のコメントに困った私は、ついに思いました。「私で良くない?」と。
妻「道具を買ったら、私が切ってあげるよ。」
夫「本当?大丈夫?できる?」
妻「・・・大丈夫だよ。私の姉は美容師だし。髪の切り方とか、YouTubeにあるだろうから、真似すればいいし。その方がいつでも好きな時に髪を切ることができるし、コストも安いでしょ。」
夫「お姉さんは関係ないと思うけど、じゃあ、お願いしようかな!」
即座に商品検索を行った夫。我が家にバリカンセットとケープが届き、私は夫専属の理容師に就任したのでした。
初めての散髪にチャレンジ!
早速届いた、バリカンセット。夫は今回、パナソニック・カットモードという商品を購入しました。初めてでも安心なテクニックBOOK付きとのこと。よしよし、余裕だな、と読み進めるのですが・・あれ?なんだか、私がイメージする髪形と違っているし、なんだか夫には似合わない。
YouTubeで動画を見てみます。子どものバリカンカット、美容師さんの技術のあるカット紹介がでてきます。美容師さんはハサミをかっこよく振るい、バリカンのみではさすがに仕上げていませんでした。しかし現在、私の手元にはバリカンのみ。む、難しい。
結局、現状維持を目指すことにしました。もちろん夫には自信がないことは内緒です。
バリカン、ケープ、手持ちの櫛とクリップを駆使し、初めての散髪に臨みます。
バリカンは、カットしたい長さに合わせて、ガイドを付け替えるタイプ。ふむふむ、始めは長めのものから様子を見て、少しずつ短くしていく。襟足から斜め上に持ち上げるようにそぐ、と。
ところが、夫の髪は短いため、長めのガイドでは手ごたえがなくうまく刈れないのです。短いガイドにして、手首をいい感じに動かせばいいと思いつきました。刈れない、となれば、次手はやや深めにいってしまうのは人の習性なのか、私の大胆さなのか、思い切って勢いよく振り上げた瞬間、ジョリ、っと大きな音とともに襟足が大きくえぐれてしまい、血の気が引いたのでした。
夫「大丈夫?良さそう?」
妻「う、うん。ちょっと短くなったけど、問題ないよ。」
その後、慎重にちびちびと髪を刈り続け、1時間以上かけて、何とかごまかせるまでにそろえ、夫は某コボちゃんになったのでした・・。
初めての散髪は・・30点。
妻「ちょっと左右のバランスが良くないけど、ありだと思うよ。」
夫「まあ、初めてにしては、いい感じになったね。うん。」
妻「後ろがちょっと、短くなっちゃった。ご、ごめんね。」
夫「後ろは見えないから、大丈夫だよ。(笑)」
持つべきものは寛大な夫です。こうして、すっかり自信を無くした私は、リベンジを図るべく、新しい道具を獲得するため、商品検索に邁進するのでした。 〈続く〉
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